2004(平成16)年6月の道路交通法改正、そして2006(平成18)年6月の施行により、駐車違反の取り締まりが強化されました。

主なポイントは、放置違反金制度が導入されたことでした。

ところで、施行からすでに10年以上が経過していますが、この制度について未だによく理解されていない部分もあるようです。

そこで今回は、放置違反金制度について説明したいと思います。

放置違反金制度とは?

まず、駐車と停車についての定義を見てみます。

道路交通法

第2条(定義)
1.この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

十八 駐車 車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。

十九 停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。

放置駐車については、18号の条文の後半部分が該当します。
つまり、自動車を駐車した運転者が車両を離れて、直ちに運転することができない状態を放置駐車というわけです。

なお、違反点数や反則金は次のようになっています。

「放置駐車違反(駐停車禁止場所等)」
・違反点数:3点
・反則金額:大型車 25000円
      普通車 18000円
      二輪車 10000円
      原付車 10000円

「放置駐車違反(駐車禁止場所等)」
・違反点数:2点
・反則金額:大型車 21000円
      普通車 15000円
      二輪車 9000円
      原付車 9000円

道路交通法改正で何が変わったのか?

前述したように、2006(平成18)年6月の施行により、駐車違反の取り締まりが強化されたわけですが、これの目的は車両の使用者義務の強化でした。

主な改正点は次のとおりです。

・放置駐車違反に問われた車両について、実際に駐車した運転者を特定できず、その責任を追及できない場合には、その車両の使用者に対して放置違反金の納付を命じることができるようになった。

・放置駐車違反を繰り返す常習違反者については、車両の使用が一定期間制限され、放置違反金を納付しない場合は車検が受けられなくなった。

・「民間の駐車監視員制度」も新たに導入され、駐車違反取り締まりの外部委託が開始された。

車両の使用者とは、自動車検査証の「使用者」欄に記載された個人や法人です。
たとえば、放置駐車違反車両が社用車の場合は法人が、また友人に貸した車両が放置駐車違反を行なった場合、運転者にその責任を追及できない場合には、放置違反金の納付義務者はそれぞれ会社と車両登録上の使用者になるわけです。

また、民間の駐車監視員制度により、警察官以外の民間機関の駐車監視員が巡回を行ない、放置車両確認標章を取り付けることができるようになっています。

なお、この法律は自動二輪車や原付バイクも対象にしています。

放置駐車違反に対する責任追及の流れ

放置駐車違反の内容や流れは次のようになっています。

①放置車両の確認・標章の取付け
②運転者責任の追及
③反則の告知・通知
④違反者が反則金を納付
⑤反則金が納付されない場合は使用者責任の追及
⑥車両の使用者に対し弁明通知書を送付
⑦放置違反金の納付
⑧放置違反金が納付されない場合は督促状を送付
⑨納付されない場合は車両の使用制限・車検拒否

弁明の機会の付与とは

公安委員会が放置違反金の納付命令をする際、「弁明通知書」を車両の使用者に送付します。
これは、車両の使用者に弁明書や有利な証拠を提出する機会を付与するものです。

弁明が認められるのは次の場合です。

①事実誤認等により違反が成立していない場合
②当該違反日において、放置車両の使用者でなかった場合
③当該車両に係る違法駐車行為が天災等の不可抗力に起因するなど、当該車両に係る違反を当該車両の使用者の責に帰すことが著しく相当性を欠くことが明らかである場合

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